不動産投資の消費税還付スキームは封じ込め|平成28年度税制改正解説

不動産投資の消費税還付スキームの封じ込め|平成28年度税制改正解説

不動産投資の消費税還付スキームは封じ込め|平成28年度税制改正解説

お持ちの土地に3億円でマンションを建築するとします。建物は消費税の課税対象ですので、支払総額は、3億円×8%=2400万円の消費税を上乗せした3億2400万円となります。

ここで支払った消費税2400万円を何とか取り戻せないか考えます。

住宅家賃は非課税ですので、通常は消費税の申告は必要ありません。しかし支払った消費税の還付を受けたい場合は、届出をして、あえて消費税の課税事業者となります。

さらに売上を工夫します。消費税の還付額は売上に占める課税売上の割合に応じて決まるからです。課税売上割合が100%なら支払った消費税2400万円の全額の還付を受けることができます。ここで、建築現場に自動販売機を設置する手法が編み出されました。物件の引き渡しを年末に設定して、その年は自動販売機の売上のみを計上すれば、課税売上割合は100%となり、支払った消費税2400万円の全額を国から還付を受けることができます。

ただし、これで終わりではありません。消費税法上、マンションを取得した後、3年後に、課税売上割合が著しく低下している場合には、還付された消費税を戻さなくてはならない規定があります。住宅家賃は非課税ですので、そのままでは課税売上割合は著しく低下し、3年後には還付を受けた2400万円の大半を戻さなくてはなりません。しかし、調整が行われる年において、免税事業者または簡易課税適用事業者となるよう届出しておけば、還付された消費税を戻す調整計算の適用を回避することができました。

これがいわゆる消費税還付における「自動販売機スキーム」の概要です。

平成22年度税制改正による消費税還付スキームの封じ込め

平成22年度の消費税の改正では、この「自動販売機スキーム」といわれる消費税還付スキームに一定の歯止めがかけられました。この改正で、免税事業者が「消費税課税事業者選択届」を提出し、2年間の選択強制適用期間「中」にアパート・マンションなどの調整対象固定資産を取得した場合には、その後3年間は免税事業者に戻ること及び簡易課税を選択することが禁止されました。これにより、調整対象固定資産に係る調整計算が行われ、初年度に還付を受けた消費税は3年後に返還を求められることになりました。

現行法による消費税還付スキーム

しかし、現行法上、免税事業者が「消費税課税事業者選択届出書」を提出した場合でも、2年間の強制適用期間適用「後」に調整対象固定資産となるアパート・マンションを取得した場合には、改正前と同様、調整対象固定資産制度の適用を回避することができ、還付金の3年後の返還の必要はなくなるという抜け道が残されていました。

不動産投資の消費税還付スキーム

平成28年度税制改正による消費税還付スキームの封じ込め

平成28年度税制改正では、調整対象固定資産となるアパート・マンションを取得した日の属する課税期間から当該課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度及び簡易課税制度は適用しないこととされ、免税事業者が「消費税課税事業者選択届」を提出して還付を受けた消費税が3年後に返還を求められることとなる調整対象固定資産制度の適用回避の抜け道が封じ込められることとなりました。

この改正は、平成 28 年4月1日以後に税抜1000 万円以上のアパート・マンションを取得した場合について適用されます。ただし、平成 27 年 12 月 31 日までに締結した契約に基づき平成 28 年4月1日以後にアパート・マンションを取得した場合は本改正の適用の対象外とされています。

(平成28年度税制改正大綱抜粋)

高額資産を取得した場合における消費税の中小事業者に対する特例措置の適用関係の見直し

① 事業者(免税事業者を除く。)が、簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に国内における高額資産の課税仕入れ又は高額資産の保税地域からの引取り(以下「高額資産の仕入れ等」という。)を行った場合には、当該高額資産の仕入れ等の日の属する課税期間から当該課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度及び簡易課税制度は、適用しない。

(注)上記の「高額資産」とは、一取引単位につき、支払対価の額が税抜1,000 万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産とする。

② 自ら建設等をした資産については、建設等に要した費用の額が税抜 1,000万円以上となった日の属する課税期間から当該建設等が完了した日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間において、上記①の措置を講ずる。

③ その他所要の措置を講ずる。

(注)上記の改正は、平成 28 年4月1日以後に高額資産の仕入れ等を行った場合について適用する。ただし、平成 27 年 12 月 31 日までに締結した契約に基づき平成 28 年4月1日以後に高額資産の仕入れ等を行った場合には、適用しない。

(参考)

自民党ホームページ : 平成28年度税制改正大綱

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