消費税改正に係る経過措置について政令で定めるとしていた事項について

消費税改正に係る経過措置について政令で定めるとしていた事項について

消費税法施行令の一部を改正する政令が3月13日に公布されました。

平成24年8月22日に公布された改正消費税法では、消費税率が、平成26年4月から8%、平成27年10月から10%に引き上げられることが決まっています。

消費税の引き上げ時期と引き上げ幅、および改正に伴う経過措置についてはこちらをご参照ください。
▶消費税率の改正と経過措置(請負工事・資産の貸付け)について

改正消費税法では、その附則で税率引き上げに係る経過措置を定めていましたが、今回の政令で、消費税率引き上げに係る経過措置について、政令で定めるとしていた事項が明らかになりました。

うち、重要と思われる部分についてレポートします。

 

1.経過措置の対象となる工事の請負については、ソフトフェアの開発等も対象に

工事の請負契約については、平成25年9月30日までに締結した契約については、完成引渡しが26年4月1日以後となったとしても5%のままとなります。

今回の政令では、改正消費税法で「工事(製造を含む。)の請負に係る契約(これに類する政令で定める契約を含む。)」としていた契約経過措置の対象となる工事の請負に係る契約に類する契約を以下のように定めました。

(今回の政令で定める契約)

測量、地質調査、工事の施工に関する調査、企画及び立案、映画の制作、ソフトウエアの開発その他の請負に係る契約(委任その他の請負に類する契約を含む。)で、仕事の完成に長期間を要し、かつ当該仕事の目的物の引渡しが一括して行われることとされているもののうち当該契約に係る契約の内容につき相手方の注文が付されているもの(建物の譲渡に係る契約で、当該建物の内装もしくは外装又は設備の設置若しくは構造についての当該建物の譲渡を受ける者のの注文に応じて建築される建物に係るものを含む。)とする。

 委任契約とは、建築家との委任契約などを指します。

2.経過措置の対象となる資産の貸付けに係る契約要件のうち、政令で定める要件が明らかに

資産の貸付けに係る契約については、平成25年9月30日までに締結した契約に基づき、平成26年4月1日前から引き続き当該契約に係る資産の貸付けを行っている場合において、契約内容が以下の1~3の要件に該当するときは、平成26年4月1日以後の資産の貸付けについて、改正前の税率(5%)が適用されます。

1 当該契約に係る資産の貸付けの期間及び当該期間中の対価の額が定められていること。

2 事業者が事情の変更その他の理由により当該対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと。

3 契約期間中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと「その他対価に関する契約の内容が政令で定める要件」に該当していること。

今回の政令では、要件3の「その他対価に関する契約の内容が政令で定める要件」を以下のように定めました。

(今回の政令で定める要件)

当該貸けに係る資産の取得に要した費用の額及び付随費用の額(利子又は保険料の額を含む。)の合計額のうちに当該契約期間中に支払われる当該資産の過失系の対価の額の合計額の占める割合が100分の90以上であるように当該契約において定められていること。

 所有権移転外ファイナンスリース取引の取扱い
いわゆる所有権移転外ファイナンスリース取引については、リース資産の引渡しの時に当該リース資産の売買があったものとされるため、資産の貸付には該当せず、資産の譲渡として消費税が課されます。したがって、リース資産の引渡しが平成26年4月1日より前であれば5%、以後であれば8%の税率が適用されることとなります。

 

3.役務の提供の対象となるのは、結婚式とお葬式のみ

役務の提供に関する経過措置については、平成25年9月30日までに締結した契約のうち、その性質上役務の提供の時期をあらかじめ定めることができないものであって、役務の提供に先立って対価の全部又は一部が分割して支払われる契約として「政令が定めるもの」に基づき平成26年4月1日以後にその契約に係る役務の提供を行う場合において、契約内容が次掲げる要件に該当するときは5%の税率を適用するという内容です。

1 その契約に係る役務の提供の対価の額が定められていること

2 事業者が事業の変更その他の理由によりその対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと

今回の政令では、「政令で定めるもの」の詳細が明らかとなりました。

(今回の政令で定める契約)

役務の提供に先立って対価の全部又は一部が分割して支払われる契約として「政令が定めるもの」は、割賦販売法に第2条第6項に規定する前払式特定取引に係る契約のうち、同項に規定する指定役務の提供に係るものとする。
前払式特定取引における「指定役務」とは、婚礼(結婚披露を含む)のための施設の提供、衣服の貸与その他の便益の提供およびこれに付随する物品の給付または葬式のための祭壇の貸与その他の便益の提供およびこれに付随する物品の給付をいいます。
「冠婚葬祭互助会」などが前払式特定取引に該当します。

4.通信販売が今回の政令で新たに経過措置の対象に

通信販売について、今回の政令で新たに経過措置が設けられました。

(今回の政令で設けられた通信販売に関する経過措置)

通信販売(不特定多数の者に商品の内容、販売価格その他の条件を提示し、郵便、電話その他の方法により売買契約の申込みを受けて当該提示した条件に従って行う商品販売)の方法により商品を販売する事業者が、平成25年9月30日までに条件を提示し、または提示する準備を完了した場合において、平成26年4月1日(施行日)前に申込みを受けて当該提示した条件に従って施行日以後に商品を販売するときは、当該商品の販売に係る消費税については、5%の税率が適用されます。

5.有料老人ホームの入居一時金も経過措置の対象に

有料老人ホームの入居一時金についても、今回の政令で新たに経過措置が設けられました。

(今回の政令で設けられた有料老人ホームの入居一時金に関する経過措置)

平成25年9月30日までに有料老人ホームに係る終身入居契約をし、入居期間中の介護に係る役務の提供の対価が入居の際に一時金として支払われ、かつ、当該一時金につき事業者が事情の変更その他の理由によりその額の変更を求めることができる旨の定めがないものに基づき、平成26年4月1日(施行日)前から施行日以後引き続き当該契約に係る資産の譲渡等を行っている場合には、当該施行日以後に行う当該役務の提供(当該一時金に対応する部分に限る)に係る消費税について5%の税率が適用されます。

 

(参考)財務省ホームページ : 消費税法施行令の一部を改正する政令