新築マンション(青田売り)に係る消費税率の改正経過措置と住宅ローン控除について

新築マンション(青田売り)に係る消費税率の改正経過措置と住宅ローン控除について

請負工事に係る諸費税率の経過措置

マイホームは人生の中で最も高額な買い物で、長期の住宅ローンを組むケースが大半です。
平成24年8月22日に公布された改正消費税法では、消費税率が、平成26年4月から8%(平成27年10月から10%)に引き上げられることが決まっています。
原則として、平成26年4月以降の引渡しなら、消費税は新税率の8%の税率が適用されますが、一定の住宅の請負工事契約については経過措置が設けられています。
建物新築工事の契約を、平成25年9月30日までに済ませれば、完成引渡しが26年4月以降となっても旧税率の5%が適用されます。消費税の課税対象は建物部分で土地については非課税です。
では、都市部での需要の多い、新築マンションの購入ではどのような取扱いとなるのでしょうか?
問題は、事前にモデルルームを公開して、マンションの完成前に売買契約を締結する、いわゆる青田売りを行う場合です。
新築マンションは売買契約で請負契約でないので、原則として経過措置の対象外です。
そこで今回は、このような新築マンションの購入に関する消費税の取扱いを、消費税増税の駆け込み需要の反動を緩和するため平成25年度税制改正において盛り込まれた住宅ローン減税の拡充策との関係もあわせてレポートいたします。

新築マンションの売買契約に、消費税率の経過措置の適用はあるのか?

この点については、平成25年4月に、国税庁より、「平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」 にて、その取扱いが明らかになっていますので、ご参照ください。

(青田売りマンション)

問31 マンションの販売を行っている当社では、事前にモデルルームを公開して、マンションの完成前に売買契約を締結する、いわゆる青田売りを行う場合があります。 この場合、改正法附則第5条第3項《工事の請負等に関する税率等の経過措置》(5%の税率適用)に規定する経過措置が適用されますか。

【答】  改正法附則第5条第3項《工事の請負等に関する税率等の経過措置》の規定の適用対象となる契約には、建物の譲渡に係る契約で、当該建物の内装若しくは外装又は設備の設置若しくは構造についての当該建物の譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物に係るものも含むこととされています(改正令附則4⑤)。
この場合の「注文に応じて」とは、譲渡契約に係る建物について、注文者が壁の色又はドアの形状等について特別の注文を付すことができることとなっているものも含まれます(経過措置通達13)。
したがって、マンションの青田売りの場合であっても、壁の色又はドアの形状等について特別の注文を付すことができるマンションについて、指定日の前日(平成25年9月30日)までに譲渡契約を締結した場合には、この経過措置が適用されます。
また、次のような場合の経過措置の適用関係は、それぞれ次のとおりとなります。
① 建物の購入者の注文を付すことができる青田売りのマンションであるが、購入者の希望により標準仕様(モデルルーム仕様)の建物を譲渡した場合
・・・・・・購入者が「標準仕様」という注文を付したのであるから、指定日の前日までに契約をしたものであれば経過措置が適用されます。
② 建物の購入者の注文を全く付すことができない青田売りマンション(設計図どおりの仕様で建築するマンション)を譲渡した場合
・・・・・・購入者が注文を付すことができないことから、経過措置が適用されません。
③ ②のマンションで、契約後、購入者が内装等の注文を付すことを認め、その仕様に基づいて内装等をして建物を譲渡した場合
・・・・・・既に締結している契約を指定日の前日までに変更して、購入者の注文を付して建築した建物を譲渡する場合については、経過措置が適用されます。

(「建物の譲渡を受ける者の注文」の範囲)

問28  改正令附則第4条第5項に規定する工事の請負に係る契約に類する契約については、「建物の譲渡に係る契約で、当該建物の内装若しくは外装又は設備の設置若しくは構造についての当該建物の譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物に係るものを含む。」とされています。 この「建物の譲渡を受ける者の注文」とは、具体的にはどのようなものをいうのですか。

【答】  「建物の譲渡を受ける者の注文」とは、例えば、次に掲げる区分に応じ、それぞれに掲げるものにつき付される注文をいいます。
① 建物の内装・・・・・・畳、ふすま、障子、戸、扉、壁面、床面、天井等
② 建物の外装・・・・・・玄関、外壁面、屋根等
③ 建物の設備・・・・・・電気設備、給排水又は衛生設備及びガス設備、昇降機設備、冷房、暖房、通風又はボイラー設備等
④ 建物の構造・・・・・・基礎、柱、壁、はり、階段、窓、床、間仕切り等
(注)
1 注文の内容、注文に係る規模の程度及び対価の額の多寡は問いません。
2 その注文が壁の色又はドアの形状等の建物の構造に直接影響を与えないものも含まれます。

(建物の譲渡を受ける者の注文の有無の確認方法)

問29  改正法附則第5条第3項《工事の請負等に関する税率等の経過措置》に規定する経過措置の適用対象となる「譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物」であることを明らかにする方法としては、どのような方法がありますか。

【答】  改正法附則第5条第3項《工事の請負等に関する税率等の経過措置》に規定する経過措置の適用対象となる「譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物」であることを明らかにする方法としては、次のような方法が考えられます。
① 当該建物の譲渡に係る契約書等において明らかにする。
② 取引の前提条件を示す申込約款等において、いわゆるオプションを受け付ける部分を明示して、どの部分のオプションを受けたのかを申込書等において明らかにする。

経過措置の適用を受け、5%で購入した場合

住宅ローン控除額は現行制度の最大200万円(認定住宅なら300万円)まで

住宅ローン控除については、適用期限(平成25年12月31日)を平成29年12月31日まで4年延長するとともに、その拡充が図られます。
住宅の取得等をして平成25年から平成29年までの間に居住の用に供した場合の住宅借入金等の年末残高の限度額(借入限度額)、控除率、各年の控除限度額及び控除期間(10年間)の最大控除額は以下の通りです。
ただし、マイホームを5%で購入した場合には、平成26年4月以降に住み始めても、改正前の控除額となるので注意が必要です。

イ 一般の住宅の場合

居住年 借入金等の年末残高の限度額 控除率 最高 合計最高控除額
25年 2,000万円 1.00% 20万円 200万円
26年1~3月 2,000万円 1.00% 20万円 200万円
26年4月
~29年12月
4,000万円 1.00% 40万円 400万円

(注1)一般の住宅とは、下記ロの認定住宅以外の住宅をいう。
(注2)平成26年4月から平成29年12月までの欄の金額は、一般の住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が8%又は10%である場合の金額であり、それ以外の場合における借入限度額は2,000万円とする。

ロ 認定住宅の場合

居住年 借入金等の年末残高の限度額 控除率 最高 合計最高控除額
25年 3,000万円 1.00% 30万円 300万円
26年1~3月 3,000万円 1.00% 30万円 300万円
26年4月
~29年12月
5,000万円 1.00% 50万円 500万円

(注1)認定住宅とは、認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう。
(注2)平成26年4月から平成29年12月までの欄の金額は、認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が8%又は10%である場合の金額であり、それ以外の場合における借入限度額は3,000万円とする。

消費税増税と住宅ローン控除拡充の影響額シミュレーション

最後に、消費税増税に伴うマイホームの取得価格とローンの返済総額の増加額と、住宅ローン減税額との比較を以下のケースでみてみます。

(前提条件)

  • 土地 2000万円
  • 建物 2000万円(税抜き)+消費税
  • 自己資金 1000万円
  • 住宅ローン 残金はローン 元利金等 35年 金利固定2.230% ボーナス払いなし
  • 一般住宅(認定住宅ではない)
  • 25.4取得(消費税率5%)と26.4取得(消費税率8%)での比較

(消費税率アップに伴う住宅の取得価格と住宅ローン返済総額の増加額)

消費税率 5% 8%
土地 消費税非課税 2000万円 2000万円
建物 消費税課税 2000万円 2000万円
建物消費税 消費税額 100万円 160万円
合計 4100万円 4160万円
取得価額の増加額 0万円 60万円
自己資金 1000万円 1000万円
住宅ローン 3100万円 3160万円
返済総額 4468万円 4554万円
返済総額の増加額 0万円 86万円 ※A

(住宅ローン減税額の比較)

H25.4取得 消費税率5%
*当初借入額3100万円
*年末残高限度額2000万円
10年間で 200万円
H26.4取得 消費税率8%
*当初借入額3160万円
*年末残高限度額4000万円
10年間で 282万円
ローン控除総額の増加額 82万円 ※B

上記ケースだと、ローンの返済総額の増加額は、※Aの86万円、住宅ローン減税増加額は※Bの82万円となり、それほど大きな差はない結果となりました。
もちろん、ケースによって有利不利の差が出てくることはあると思いますが、一般的な住宅購入では、消費税率アップの影響は、住宅ローン減税額の増加でうまく相殺されるケースが多いのではないでしょうか。

(参考)

国税庁ホームページ : 「平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」(平成25年4月)(PDF/576KB)

【法令】改正法
衆議院ホームページ : 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律(平成24年法律第68号)
(附則第5条第3項 )
事業者が、平成八年十月一日から平成二十五年十月一日(以下この項から第五項まで及び附則第七条第一項において「指定日」という。)の前日までの間に締結した工事(製造を含む。)の請負に係る契約(これに類する政令で定める契約を含む。)に基づき、施行日以後に当該契約に係る課税資産の譲渡等を行う場合には、当該課税資産の譲渡等(指定日以後に当該契約に係る対価の額が増額された場合には、当該増額される前の対価の額に相当する部分に限る。)に係る消費税については、旧消費税法第二十九条に規定する税率による。

【法令】改正令
財務省ホームページ : 消費税法施行令の一部を改正する政令(平成25年政令第56号)
(附則第4条5項)
改正法附則第五条第三項に規定する政令で定める契約は、測量、地質調査、工事の施工に関する調査、企画及び立案及び管理並びに設計、映画の制作、ソフトウエアの開発その他の請負に係る契約(委任その他の請負に類する契約を含む。)で、仕事の完成に長期間を要し、かつ、当該仕事の目的物の引渡しが一括して行われることとされているもののうち当該契約に係る契約の内容につき相手方の注文が付されているもの(建物の譲渡に係る契約で、当該建物の内装もしくは外装又は設備の設置若しくは構造についての当該建物の譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物に係るものを含む。)とする。

【通達】経過措置通達
国税庁ホームページ : 平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いについて(法令解釈通達)
(譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物の範囲)
13 改正令附則第4条第5項《工事の請負等に係る契約に類するものの範囲》に規定する「建物の譲渡に係る契約で、当該建物の内装若しくは外装又は設備の設置若しくは構造についての当該建物の譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物に係るもの」には、譲渡契約に係る建物について、注文者が壁の色又はドアの形状等について特別の注文を付すことができることとなっているものも含まれるのであるから留意する。

財務省ホームページ : 平成25年度税制改正の大綱-住宅税制-

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