平成27 年度税制改正大綱ー基本的考え方全文を読むー

平成27 年度税制改正大綱ー基本的考え方全文を読むー

平成26年12月30日に、自民党と公明党による平成27年度の与党税制改正大綱が取りまとめられ、公表されました。

例年の税制改正は、毎年年末にまとめられる「税制改正大綱」をもとに、税制改正法案が作成されます。法案は、翌年の1月から3月までの通常国会にて審議され、3月に可決され、成立した場合には、3月31日に公布、 4月1日から施行となります。

この税制改正大綱は、第一「平成27 年度税制改正の基本的考え方」→第二「平成27 年度税制改正の具体的内容」→第三「検討事項」という構成になっています。

平成27 年度税制改正大綱
(目 次)
第一 平成27 年度税制改正の基本的考え方 – 1
第二 平成27 年度税制改正の具体的内容 – 13
一 個人所得課税  – 13
二 資産課税 – 41
三 法人課税 – 60
四 消費課税 – 82
五 国際課税 – 105
六 納税環境整備 – 113
七 関税 – 122
第三 検討事項 – 124

冒頭の「税制改正の基本的考え方」では、現政権の政策を反映させた税制改正の趣旨と今後の動向について、改正の要点とともに端的に記載されています。

原文を以下に掲載していますので、ぜひご一読ください。基本的には、全文でこれ以上でもこれ以下でもない内容でまとめられていますが、税理士からみてポイントと思われるところにマーカーを引いていますのでご参照ください。

個別の改正項目については、おってレポートしていきます。大綱の全文をご覧になりたい方は、平成27年度税制改正大綱をご覧ください。

平成27 年度税制改正の基本的考え方

安倍内閣は、これまで、「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」の「三本の矢」からなる経済政策(「アベノミクス」)を一体的に推進してきた。税制面においても、平成25 年度及び平成26 年度の税制改正を通じて、企業の賃金引上げや設備投資を促進するための措置等を、これまでになく大胆に講じてきた。こうした取組みもあり、就業者数や名目総雇用者所得の増加など雇用・所得環境は改善傾向が続くとともに、企業部門も高水準の経常利益を実現するなど、景気は緩やかな回復基調が続いている。

他方、足下では個人消費等に弱さが見られ、平成26 年7-9月期の実質GDP成長率が2四半期連続でマイナス成長となった。また、景気の回復状況にはばらつきがみられ、特に地方や中小企業ではアベノミクスの成果を十分に実感できていない。

このような状況の下、経済再生と財政健全化を両立するため、平成27 年10 月に予定していた消費税率10%への引上げ時期は平成29 年4月とする。社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの信認を高めるために財政健全化を着実に進める姿勢を示す観点から、平成29 年4月の引上げについては、「景気判断条項」を付さずに確実に実施する。

今後、デフレ脱却・経済再生をより確実なものにしていく必要がある。そのため、企業収益の拡大が速やかに賃金上昇や雇用拡大につながり、消費の拡大や投資の増加を通じてさらなる企業収益に結び付くという、経済の好循環を着実に実現していくことが重要である。税制においても、企業が収益力を高め、賃上げにより積極的に取り組んでいくよう促していく必要がある。こうした観点から、平成27 年度から法人税改革に着手し、一部の黒字企業に税負担が偏っている状況を是正して、広く負担を分かち合う構造へと改革する。まず、平成27 年度税制改正では、課税ベースの拡大等により財源を確保しつつ、経済の好循環の実現を力強く後押しするために税率引下げを先行させる。これにより、国・地方を通じた法人実効税率(現行34.62%)は、平成27 年度に32.11%(▲2.51%)、平成28 年度に31.33%(▲3.29%)となる。さらに、引き続き、平成28 年度以降の税制改正においても、20%台まで引き下げることを目指して、改革を継続していく。

わが国は急速な人口減少局面にあることに加え、地方においては東京圏等への人口流出と地域経済の縮小が進んでいる。こうした構造的な課題を克服するため、東京一極集中の是正や若い世代の結婚・子育ての希望の実現等を通じた地方創生に向けて、税制面で所要の措置を講ずる。

自らの発想で特色を持った地域づくりができるよう、地方分権を推進し、その基盤となる地方税の充実確保を図るとともに、税源の偏在性が小さく税収が安定的な地方税体系を構築することが重要である。また、インフラ整備や治安、社会保障など、行政サービスの多くは地方公共団体が直接の担い手となっていることに鑑みれば、公共サービスの対価を広く公平に分かち合うという地方税の応益課税を強化することが重要である。

経済のグローバル化の進展に対応するため、G20・OECDの枠組みにおける国際的な租税回避防止の取組みを踏まえ、納税者の信頼を確保し、また、国内外の事業者の競争条件を公平化する観点から、国境を越えた取引や人の動きに係る課税の適正化を図る。

また、わが国の経済社会の変化や国際的な取組みの進展状況等を踏まえつつ、担税力に応じた新たな課税について検討を進めていく。

東日本大震災からの復興について、その進捗状況を踏まえつつ、引き続き税制面からも強力に支援する。

目下はデフレ脱却・経済再生に向けて税制を含めあらゆる政策資源を集中投入すべき状況にある。他方、税制は社会のあり方に密接に関連するものであり、今後とも、格差の固定化につながらないよう機会の平等や世代間・世代内の公平の実現、簡素な制度の構築といった考え方の下、不断の見直しを行わなければならない。

もとより、税制の基本は財源調達機能にあることに鑑みれば、2020 年度の基礎的財政収支黒字化目標との整合性も念頭において、税制改正に取り組む必要がある。

以下、平成27 年度税制改正の主要項目について基本的考え方を述べる。

Ⅰ デフレ脱却・経済再生に向けた税制措置

1 成長志向に重点を置いた法人税改革

(1)改革の趣旨

今般の法人税改革は、欧米各国も行ってきたように「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」ことにより、法人課税を成長志向型の構造に変えるものである。すなわち、より広く負担を分かち合い、「稼ぐ力」のある企業や企業所得の計上に前向きな企業の税負担を軽減することで、企業の収益力の改善に向けた投資や新たな技術開発等への挑戦がより積極的になり、それが成長につながっていくように、法人課税の構造改革を行うものである。この改革を通じて、企業が収益力を高めれば、継続的な賃上げが可能な体質となり、より積極的な賃上げへの取組みが可能となる。これまで、企業に賃上げを促すために所得拡大促進税制を創設・拡充してきたが、今回、さらにその要件を緩和するとともに、法人事業税の外形標準課税においても、新たに所得拡大促進税制を導入し、企業の賃上げへの動き出しを一層力強く後押しする。

経済界においては、今般の改革がもたらす経営環境の変化も踏まえ、収益力や生産性の向上に向けて一層の企業努力を行い、得られた利益を従業員や株主に適切に還元するとともに、取引先企業への支払単価を改善することを通じて、経済の好循環の実現に向けて積極的に貢献していくことを求めたい。

(2)改革の枠組み

平成27 年度を初年度とし、以後数年で、法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指す。その際、2020 年度の基礎的財政収支黒字化目標との整合性を確保するため、制度改正を通じた課税ベースの拡大等により、恒久財源をしっかりと確保する。

税率引下げと課税ベースの拡大等の改革は、大きく分けて2段階で進めることとし、以下のとおり取り組む。

第1段階として平成27 年度税制改正において、欠損金繰越控除の見直し、受取配当等益金不算入の見直し、法人事業税の外形標準課税の拡大、租税特別措置の見直しを行う。これらの改革に当たっては、地域経済を支える中小法人への影響に配慮して、大法人を中心に改革を行う。また、賃上げへの配慮措置や地域で雇用を支える中堅企業の負担増の軽減措置、改革を段階的に実施する等の激変緩和措置も講ずる。

法人税については、平成29 年度にかけて段階的に財源が確保されることとなるが、経済の好循環の実現を力強く後押しするために税率引下げを先行させることとし、平成27 年度から、現行の25.5%から23.9%に引き下げる。また、大法人向けの法人事業税所得割(地方法人特別税を含む。)については、外形標準課税の拡大にあわせて、現行7.2%の標準税率を、平成27 年度に6.0%、平成28 年度に4.8%に引き下げる。これらにより、国・地方を通じた法人実効税率( 現行34.62 % ) は、平成27 年度に32.11 %(▲2.51%)、平成28 年度に31.33%(▲3.29%)となる。

第2段階として平成28 年度税制改正においても、課税ベースの拡大等により財源を確保して、平成28 年度における税率引下げ幅の更なる上乗せを図る。さらに、その後の年度の税制改正においても、引き続き、法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指して、改革を継続する。このため、以下をはじめとして、幅広く検討を行う。

大法人向けの法人事業税の外形標準課税の更なる拡大に向けて、平成27 年度税制改正の実施状況も踏まえつつ、引き続き検討を行う。その際、分割基準や資本割の課税標準のあり方等について検討する。あわせて、外形標準課税の適用対象法人のあり方についても、地域経済・企業経営への影響も踏まえながら引き続き慎重に検討を行う。

生産性向上設備投資促進税制(平成28 年度末期限)所得拡大促進税制(平成29 年度末期限)及び研究開発税制(増加型・高水準型は平成28 年度末期限)については、経済の好循環の定着状況等を踏まえつつ、取扱いについて検討を行う。

ハ 減価償却については、中小事業者等における設備投資への影響に留意しつつ、経済の好循環の定着状況等を見極めながら、定額法への一本化について、検討を行う。

法人事業税の損金不算入化について、税の性格上は損金算入が自然であるとの考え方もある一方、地方独自の減税措置の効果が国税等の課税ベースの変動により減殺されてしまうことや、各税目の税負担が納税者にとって不明確となることを考慮しつつ、検討を行う。

租税特別措置については、毎年度、期限が到来するものを中心に、廃止を含めてゼロベースで見直しを行う。

③ 全法人の99%を占める中小法人(資本金1億円以下)については、軽減税率や各種の政策税制(例えば、中小企業投資促進税制)が適用されるほか、欠損金繰越控除の控除限度、特定同族会社の留保金課税、法人事業税の外形標準課税をはじめとする多くの制度において、大法人と異なる扱いが認められている。

中小法人の実態は、大法人並みの多額の所得を得ている法人から個人事業主に近い法人まで区々であることから、そうした実態を丁寧に検証しつつ、資本金1億円以下を中小法人として一律に扱い、同一の制度を適用していることの妥当性について、検討を行う。その上で、中小法人のうち7割が赤字法人であり、一部の黒字法人に税負担が偏っている状況を踏まえつつ、中小法人課税の全般にわたり、各制度の趣旨や経緯も勘案しながら、引き続き、幅広い観点から検討を行う。

公益法人等については、非収益事業について民間競合が生じていないか、収益事業への課税において軽減税率とみなし寄附金制度がともに適用されることが過剰な支援となっていないかといった点について実態を丁寧に検証しつつ、その課税のあり方について引き続き検討を行う。

協同組合等については、特に軽減税率のあり方について、事業分量配当の損金算入制度が適用される中で過剰な支援となっていないかといった点について実態を丁寧に検証しつつ、今般の法人税改革の趣旨に沿って、引き続き検討を行う。

2 高齢者層から若年層への資産の早期移転を通じた住宅市場の活性化

高齢者層から若年層への資産の早期移転を通じて、すそ野が広く経済波及効果が大きい住宅需要を刺激するとともに、省エネルギー性・耐震性・バリアフリー性を備えた良質な住宅ストックの形成を促すことが重要である。また、消費税率引上げの前後における駆け込み需要及びその反動による住宅市場への影響を踏まえ、その影響の平準化及び緩和を図ることが必要である。そのため、住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について、適用期限を延長した上で拡充する。

3 投資家のすそ野拡大・成長資金の確保

家計の安定的な資産形成を支援するとともに、経済成長に必要な成長資金を確保することが課題である。こうした観点から、若年層への投資のすそ野の拡大等を図るためジュニアNISA(未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)を創設するとともに、NISAの年間投資上限額の引上げを行う。

Ⅱ 地方創生・国家戦略特区

「まち・ひと・しごと創生法」にも掲げられているとおり、「東京圏への人口の過度の集中を是正し、それぞれの地域で住みよい環境を確保」するとともに、「急速な少子高齢化の進展に的確に対応し、人口の減少に歯止めをかける」ことが重要である。

1 東京圏への人口集中の是正・各地域での住みよい環境の確保

(1)地方拠点強化税制の創設

人口の東京への過度な集中を是正するためには、地方の企業において雇用の場を確保し、人材を定着させることが必要である。このため、地方公共団体における計画的・戦略的な企業誘致の取組みと相まって、企業が、その本社機能等を東京圏から地方に移転したり、地方においてその本社機能等を拡充する取組みを支援するため、本社等の建物に係る投資減税を創設するとともに、雇用の増加に対する税額控除制度(雇用促進税制)の特例を設ける。

(2)ふるさと納税

ふるさと納税を促進し、地方創生を推進するため、個人住民税の特例控除額の上限の引上げを行うとともに、確定申告が不要な給与所得者等がふるさと納税を簡素な手続で行える「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を創設する。これとあわせ、地方公共団体に対し、返礼品等の送付について、寄附金控除の趣旨を踏まえた良識ある対応を要請する。

(3)外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充

消費税免税店の拡大及び利便性向上を図る観点から、商店街やショッピングモール内などにおける免税手続きを、「免税手続カウンター」でまとめて行えるようにするなど、外国人旅行者向け消費税免税制度を拡充する。

2 国家戦略特区

平成26 年度に創設した国家戦略特区の税制については、わが国の経済再生に大きく寄与する事業を支援する観点から、特定中核事業の追加等を行うとともに、今後、各区域における実際の事業の実施状況を見極めた上で、特区に認定されなかった地域とのバランスや、地方創生や国際戦略総合特区等における他の税制との役割分担や整合性等に留意しつつ、引き続き検討する。

なお、特区の事業が十分な効果を発揮するためには、国、地方公共団体及び民間事業者の緊密な連携が必要であり、事業推進のため、地方公共団体をはじめ地方における関係者の自主的な取組みが求められる。

3 少子高齢化の進展・人口減少への対応

(1)結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設

将来の経済的不安が若年層に結婚・出産を躊躇させる大きな要因の一つとなっていることを踏まえ、祖父母や両親の資産を早期に移転することを通じて、子や孫の結婚・出産・育児を後押しするため、これらに要する資金の一括贈与に係る非課税措置を講ずる。

(2)学校法人等への個人寄附に係る税額控除制度の拡充

少子化の進展に伴い、園児等の数が減少していく中で、幼稚園・保育所等の教育・子育ての環境の充実を図る観点から、学校法人等への個人寄附に係る税額控除の要件を緩和する。

(3)少子化への対応、働き方の選択に対する中立性の確保等の観点からの個人所得課税の見直し

わが国においては、少子高齢化の進展・人口減少、働き方の多様化や所得格差の拡大等の社会・経済の構造変化が著しい。若い世代が結婚し子どもを産み育てやすい環境や女性が働きやすい環境を整備することが極めて重要な課題となっており、税制のみならず関連する諸制度を総合的に検討すべきである。その際、社会の基本は「自助」にあることを踏まえ、家族の助け合いの役割も正しく評価する必要がある。これらを踏まえ、個人所得課税について、効果的・効率的に子育てを支援する観点、働き方の選択に対して中立的な税制を構築する観点を含め、社会・経済の構造変化に対応するための各種控除や税率構造の一体的な見直しを丁寧に検討する。

Ⅲ 社会保障・税一体改革

1 消費税率10%への引上げ時期の変更

経済再生と財政健全化を両立するため、平成27 年10 月に予定していた消費税率10%への引上げ時期を平成29 年4月とする。社会保障制度を次世代に引き渡す責任を果たすとともに、市場や国際社会からの信認を高めるために財政健全化を着実に進める姿勢を示す観点から、平成29 年4月の消費税率10%への引上げは、「景気判断条項」を付さずに確実に実施する。消費税転嫁対策特別措置法の適用期限について、消費税率10%への引上げ時期の変更にあわせ、平成30 年9月30 日まで1年半延長することとし、引き続き消費税の円滑かつ適正な転嫁について万全な対応を進める。

2 消費税率引上げ時期の変更に伴う対応

(1)住宅取得等に係る措置

消費税率引上げによる住宅投資への影響の平準化・緩和策である住宅ローン減税の拡充等の措置及び東日本大震災の被災者に対する再建住宅の取得等に係る住宅ローン減税の拡充措置について、消費税率引上げ時期の変更を踏まえて、その対象期間を平成31 年6月30 日まで1年半延長する。この措置による個人住民税の減収額は、全額国費で補塡する。また、一般の住宅取得及び被災者の住宅再建に係る給付措置の対象期間についても平成31 年6月30 日まで1年半延長する。なお、住宅市場に係る対策については、今般の経済対策を含むこれまでの措置の実施状況や今後の住宅着工の動向等を踏まえ、必要に応じて検討を行う。

(2)車体課税の見直し

平成26 年度与党税制改正大綱等における消費税率10%段階の車体課税の見直しについては、平成28 年度以後の税制改正において具体的な結論を得る。

自動車取得税及び自動車重量税に係るエコカー減税については、燃費基準の移行を円滑に進めるとともに、足下の自動車の消費を喚起することにも配慮し、経過的な措置として、平成32 年度燃費基準への単純な置き換えを行うとともに、現行の平成27 年度燃費基準によるエコカー減税対象車の一部を、引き続き減税対象とする等の措置を講ずる。

自動車重量税については、消費税率10%への引上げ時の環境性能割の導入にあわせ、エコカー減税の対象範囲を、平成32 年度燃費基準の下で、政策インセンティブ機能を回復する観点から見直すとともに、基本構造を恒久化する。また、平成25 年度及び平成26 年度与党税制改正大綱に則り、原因者負担・受益者負担の性格等を踏まえる。

軽自動車税については、一定の環境性能を有する四輪車等について、その燃費性能に応じたグリーン化特例(軽課)を導入する。この特例については、自動車税・軽自動車税における環境性能割の導入の際に自動車税のグリーン化特例(軽課)とあわせて見直す。また、二輪車等の税率引上げについて、適用開始を1年間延期し、平成28 年度分からとする。

なお、消費税率10%段階の車体課税の見直しにおいては、税制抜本改革法第7条に沿いつつ、自動車をめぐるグローバルな環境や課税のバランス、自動車に係る行政サービス等を踏まえた議論を行う。

(3)地方法人課税の偏在是正

平成26 年度与党税制改正大綱における消費税率10%段階の地方法人課税の偏在是正については、平成28 年度以後の税制改正において具体的な結論を得る。

3 消費税の軽減税率制度

消費税の軽減税率制度については、関係事業者を含む国民の理解を得た上で、税率10%時に導入する。平成29 年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等について、早急に具体的な検討を進める。

Ⅳ 固定資産税

固定資産税は、市町村財政を支える基幹税であり、今後ともその税収の安定的な確保が不可欠である。

土地に係る固定資産税については、商業地等の据置特例の対象土地における税負担の不均衡や、現行の一般市街化区域農地の負担調整措置により生じている不均衡等の課題があるものの、平成9年度から負担水準の均衡化を進めてきた結果、負担水準の均衡化は相当程度進展してきている状況にある。一方、地価の状況は、アベノミクスにより、東京都心部は上昇し、地方圏も下げ止まりつつあるものの、力強さに欠ける状況にある。

このような状況及び現下の最優先の政策課題はデフレ脱却であることを踏まえ、平成27 年度から平成29 年度までの間、土地に係る固定資産税の負担調整の仕組みと地方公共団体の条例による減額制度を継続する。

その一方、今後、デフレから脱却し、地価が一定程度の上昇に転じる場合には、商業地等の負担水準がばらつき、負担の不均衡が再拡大する等の問題が生じ、商業地等の据置特例等の負担調整措置の見直しが必要となると考えられる。

また、農地に関しては、早期の宅地化を期して市街化区域に編入された農地の税負担が長期にわたって低い状態にとどまるため、長く市街化区域内で営農されている農地との間での不均衡等の課題も生じている。これについては、都市農業の振興に係る措置の検討とあわせて、検討を進める必要がある。

これらを踏まえ、次期評価替えまでの間において、デフレ脱却の動向を見極めつつ、これらの課題への対処について検討を進めるとともに、税負担の公平性や市町村の基幹税である固定資産税の充実確保の観点から、異なる用途の土地や他の資産との間の税負担の均衡化等、固定資産税の今後を見据えた検討を行う。

Ⅴ 国境を越えた取引等に係る課税の国際的調和に向けた取組み

現在、G20・OECDが推進している「BEPS(注)プロジェクト」や「非居住者に係る金融口座情報の自動的交換」の取組みは、国際的な租税回避を各国協調して防止することで、公平な課税を実現し、税制に対する納税者の信頼を確保するとともに、節税を利用しない企業の競争条件を改善するものである。わが国においても、こうしたグローバルな取組みの趣旨を十分に踏まえ、国境を越えた取引や人の動きに係る課税の適正化に向けて取り組んでいく。
(注)Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転

国内外の事業者間の競争条件の公平性を確保する観点から、国外事業者が国境を越えて行う電子商取引を消費税の課税対象とする。

国際的な二重非課税を防止する観点から、外国子会社の所在地国において損金に算入される配当を外国子会社配当益金不算入制度の適用対象から除外する。国境を越えた人の動きに係る租税回避を防止する観点から、出国時における株式等に係る未実現のキャピタルゲインに対する譲渡所得課税の特例を創設する。これにあわせて、現行の財産債務明細書について、所得税・相続税の申告の適正性を確保するため、記載内容を充実するなどの見直しを行う。その際、記載に係る事務負担が過重なものとならないよう、運用上、適切に配慮することとする。なお、個人住民税に係る譲渡所得課税の特例の導入について、引き続き検討を行う。

国際的な脱税及び租税回避を防止する観点から、非居住者の金融口座情報を租税条約等に基づき各国税務当局と自動的に交換するため、金融機関に対し非居住者の口座情報の報告を求める制度を整備する。

健全な国際的投資交流の促進によりわが国経済を活性化する等の観点から、今後とも租税条約の締結・改正を推進し、租税条約ネットワークの迅速な拡充に努める。また、その実現に向けて、関係当局の体制強化等を進める。

Ⅵ 復興支援のための税制上の措置

東日本大震災からの復興は最優先課題である。税制面でも引き続き復興を支援するため、福島の避難解除区域等に帰還して事業を再開しようとする事業者を対象に、投資費用を積み立てやすくするための準備金制度を創設する。住民の帰還促進など被災地域の復興再生を加速化する観点から、「一団地の福島復興再生拠点市街地形成施設」(仮称)に係る都市計画事業による土地等の買取りに係る譲渡所得に対して、5,000 万円特別控除等を適用する。

また、消費税率引上げ時期の変更を踏まえて、東日本大震災の被災者に対する再建住宅の取得等に係る住宅ローン減税の拡充措置の対象期間及び被災者の住宅再建に係る給付措置の対象期間について、平成31 年6月30 日まで1年半延長する〔再掲〕。東日本大震災の被災者が住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、平成31 年6月30 日まで延長・拡充する。

Ⅶ 円滑・適正な納税のための環境整備

国外居住親族に係る扶養控除等の適用の適正化の観点から、その適用を受ける納税者に対して、親族関係書類等の添付等を義務付ける。

マイナンバーが付された預貯金情報を税務調査において効率的に利用できるようにする観点から、銀行等に対し預貯金情報をマイナンバーにより検索可能な状態で管理することを義務付ける。

納税者の国税関係書類の保存に係るコスト削減等を図る観点から、スキャナ保存制度の要件を緩和する。税務手続の電子化を促進する観点から、個人の納税者が行う電子申告において電子署名を不要としID・パスワードによる申告を可能とする等、電子申告の手続の簡素化を進める。

地方税の猶予制度について、地方分権を推進する観点から一定の事項については条例で定めることとした上で、国税の昨年度の改正を踏まえた所要の見直しを行う。個人住民税等における還付加算金の起算日について所要の見直しを行う。

また、税制を円滑かつ公平に執行するため、必要な定員の確保等の税務執行体制の一層の充実を図る。

 

(参考)自民党ホームページ : 平成27年度税制改正大綱

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