経営者保証に関するガイドラインの概要

経営者保証に関するガイドラインの概要

経営者保証に関するガイドラインの概要

中小企業の経営者による個人保証(経営者保証)には、経営への規律付けや信用補完として資金調達の円滑化に寄与する面がある一方、経営者による思い切った事業展開や、保証後において経営が窮境に陥った場合における早期の事業再生を阻害する要因となっているなど、企業の活力を阻害する面もあり、経営者保証の契約時及び履行時等において様々な課題が存在します。

そのため、経営者保証に依存しない融資の一層の促進が図られることが期待されていました。

このような状況をふまえ、このたび、経営者保証に関する中小企業、経営者及び金融機関による対応についての自主的かつ自律的な準則である「経営者保証に関するガイドライン」と本ガイドラインに関するQ&Aが公表されましたので、その概要についてレポートします。

経営者保証に関するガイドラインの概要

(1)経営者保証を契約する時点における対応

1.経営者が個人保証契約を締結せずに融資を受けるための要件等
  • 経営者が個人保証契約を締結せずに融資を受けるためには、金融機関が法人のみの事業・資産を見て、融資判断できる状況であることが必要。
  • 具体的には、金融機関は、以下(1)~(4)の全部または一部を満たす中小企業に対して、要件の充足度合いに応じ、経営者保証を求めないことや保証機能の代替手法(停止条件付保証契約※等)の活用を検討。
    ※停止条件付保証契約とは、中小企業が特約条項(定期的な財務情報の提出義務、他の金融機関に対する担保提供の制限など)に違反しない限り保証債務の効力が発生しない旨の契約。
    (1)法人と経営者が明確に区分・分離されていること。
    (2)法人の資産・収益で借入返済が可能であること。
    (3)適時適切に財務情報が開示されていること。
    (4)内部又は外部からのガバナンスの強化により(1)~(3)を将来に亘って充足する体制が整備されていること。
2.事業承継時の対応
  • 金融機関は、前経営者の保証債務を、後継者に当然に引き継がせるのではなく、後継者との保証契約の必要性を改めて検討。

(2)経営者保証が履行される時点における対応

<保証履行後も保証人の手元に残る資産等>

  1. 破産時の自由財産(99万円)は、原則として経営者の手元に残る。
  2. 金融機関は、事業再生等の早期着手により法人からの回収見込額が増加した場合、自由財産に加えて「一定期間の生活費(雇用保険の考え方を参考に、年齢等に応じて約100万円~360万円)」を経営者に残すことを検討。
  3. 金融機関は、「華美でない自宅」について、経営者の収入に見合った分割弁済をする等により、経営者が自宅に住み続けられるよう検討。
  4. 保証債務履行時点の資産で返済し切れない保証債務の残額は、原則として免除する。

経営者保証に関するガイドラインは平成26年2月1日から適用が開始されます。

本ガイドラインの運用に際しては、公認会計士、税理士等の外部専門家による検証の実施と、対象債権者に対する検証結果の適切な開示が望ましいとされています。

(参考)中小企業庁ホームページ :
「経営者保証に関するガイドライン」が公表されました
中小企業・小規模事業者の資金繰り支援を強化します

経営者保証ガイドライン概要_ページ_1

経営者保証ガイドライン概要_ページ_2

 税理士法人エヴィスは経営革新等支援機関(認定支援機関)です。
税理士法人エヴィスは、経営者保証に関するご相談に積極的に対応し、経営者保証に依存しない融資の一層の促進に努めます。

 経営革新等支援機関認定制度の概要
近年、中小企業を巡る経営課題が多様化・複雑化する中、中小企業支援を行う支援事業の担い手の多様化・活性化を図るため、平成24年8月30日に「中小企業経営力強化支援法」が施行され、 中小企業に対して専門性の高い支援事業を行う経営革新等支援機関を認定する制度が創設されました。
認定制度は、税務、金融及び企業財務に関する専門的知識や支援に係る実務経験が一定レベル以上の個人、法人、中小企業支援機関等を、経営革新等支援機関として認定することにより、 中小企業に対して専門性の高い支援を行うための体制を整備するものです。