平成25年度税制改正-相続税改正特集-

平成25年度税制改正-相続税改正特集-

平成25年3月29日に成立した平成25年度税制改正を受けて、相続税の課税強化が確定いたしました。

相続税の主な改正が実施されるのは、再来年の平成27年1月からです。

税制はどのように変わるのか、どう備えればいいのか、影響の大きい改正についてレポートします。

1.相続税増税-基礎控除縮小-平成27年1月から

今回の相続税の改正で最も影響が大きいのが、相続税がかからない「基礎控除額」の縮小です。

この改正は、平成27年1月1日以後に発生する相続について適用されます。

遺産総額が基礎控除額を超えた場合には、その超えた部分に相続税が課税され、10ヶ月以内に相続税の申告、納付をする必要があります。

基礎控除額は、現行税制では、5,000万円と法定相続人1人につき1,000万です。たとえば、法定相続人が3人いれば、5,000万円+3,000万円なので、課税遺産総額が8,000万円以下なら、申告納付は不要です。 この基礎控除額が、現行税制の6割の水準に引き下げられます。

現行税制
5000万円 + 1000万円×法定相続人

sankaku

改正後
3000万円 + 600万円×法定相続人

例えば、相続人が子2人の場合の基礎控除額は、 現行税制では、5,000万円+1,000万円×2人=7,000万円となりますが、改正後は、3,000万円+600万円×2人=4,200万円となります。

したがって、現行税制では、相続財産が7,000万円以下の場合には相続税は発生しませんが、改正後は4,200万円超の相続財産があれば課税されることになります。

具体的な影響額について、まとめてみましたので、ご参照ください。

(子2人が相続人の場合の相続税の合計額)

課税価格 相続税額
現行 改正後 増税額
5000万円 0万円 80万円 80万円
6000万円 0万円 180万円 180万円
7000万円 0万円 320万円 320万円
8000万円 100万円 470万円 370万円
9000万円 200万円 620万円 420万円
1億円 350万円 770万円 420万円
2億円 2500万円 3340万円 840万円

まずは財産の棚卸しから

今回の相続税の基礎控除額の改正により、これまで相続税がかからなかった方についても課税されるケースが増加することは確実です。財務省の試算によれば、この改正により、相続税が課税される対象者が4%から6%に増加するといわれています。

したがって、これまでは相続税がかからないと思われていた方についても、相続財産の一覧表を作成し、相続税がどのくらいかかるのかあらかじめ試算し、納税資金の手当てをしておくことが重要です。

相続税の納税は、現金一括納付が原則です。一括で納めることができる預貯金などがあれば問題はありません。しかし、難しい場合には、生命保険を活用したり、相続人が実家を売却して納税資金を準備しなければならないケースも想定されます。

2.相続税増税-最高税率引き上げ-50%から55%に-平成27年1月から

今回の相続税の改正で最も影響が大きいのは、相続税がかからない「基礎控除額」の縮小ですが、あわせて相続税の最高税率が50%から55%に引き上げられる改正も行われます。

この改正は、平成27年1月1日以後に発生する相続について適用されます。

今回の改正における税率構造の見直しは、法定相続分の各相続人の取得価格が2億円超の区分について行われましたので、各人の取得財産が2億円超の場合に増税となります。

(相続税の速算表)

現行 改正後
法定相続分の各相続人の取得価格 税率 控除額 法定相続分の各相続人の取得価格 税率 控除額
1000万円以下 10% 1000万円以下 10%
3000万円以下 15% 50万円 3000万円以下 15% 50万円
5000万円以下 20% 200万円 5000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円 1億円以下 30% 700万円
3億円以下 40% 1700万円 2億円以下 40% 1700万円
3億円以下 45% 2700万円
3億円超 50% 4700万円 6億円以下 50% 4200万円
6億円超 55% 7200万円

 

基礎控除額の縮小とあわせた今回の改正による相続税額の影響額は以下の通りです。

(子2人が相続人の場合の相続税の合計額)

課税価格 相続税額
現行 改正後 増税額
5000万円 0万円 80万円 80万円
1億円 350万円 770万円 420万円
3億円 5800万円 6920万円 1120万円
5億円 13800万円 15210万円 1410万円
10億円 37100万円 39500万円 2400万円
20億円 87100万円 93290万円 6190万円

3.相続税増税-小規模宅地特例対象面積を緩和-平成27年1月1日より

今回の相続税の改正は、基本的には課税強化の方向ですが、一方で軽減策も盛り込まれました。

その一つが小規模宅地の特例の見直しです。

小規模宅地の特例とは、親が住んでいた宅地の評価額から、最大8割を減額することのできる相続税の計算上の特例で、原則として親と同居していることが条件となります。 この特例の適用を受けることができない場合には、親の自宅敷地部分について相続税が課税されます。

今回の改正に対する緩和措置として、限度面積が240㎡から330㎡に拡大されます。

また、特例の対象として選択する宅地等の全てが特定事業用等宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能とする緩和措置が講じられます。居住用と工場など事業用を併用する宅地については、居住用の330㎡と合わせて最大730㎡まで適用されます。

なお、アパートなどの貸付事業用宅地等を選択する場合における適用対象面積の計算については、現行どおり、調整を行うこととされています(200㎡を限度に50%減)。

これらの改正は、平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用されます。

4.相続税増税-小規模宅地特例の適用要件を緩和-平成26年1月1日より

小規模宅地の特例については、その適用要件について、平成26年1月1日から先行的に緩和されるものが2つあります。

その1つが、二世帯住宅への小規模宅地の適用要件の緩和です。

これまでは、二世帯住宅については、親子の居住スペースが完全に仕切られ、建物内部で行き来できない住宅については、特例の適用に制限がありましたが、平成26年1月以降は、構造に関係なく認められることになりました。

もう1つが、親が終身利用型の老人ホームに入所したときの残された家への小規模宅地の適用要件の緩和です。

これまでは、親が終身型の老人ホームに入ると老人ホームが自宅とされ、残した家への小規模宅地の特例が使えないケースがありました。 今回の改正により、このようなケースでも以下の要件を満たす場合には、特例が適用できるようになります。

イ 被相続人に介護が必要なため入所したものであること。

ロ 当該家屋が貸付け等の用途に供されていないこと。

5.まとめ

今回の相続税の改正では、二世帯住宅や老人ホームの小規模宅地の特例での取扱いで条件が緩和されるものもありますが、基本的には、基礎控除額の縮小により相続税の課税対象者が増加します。

これまで相続税がかからなかった方については、財産の棚卸しと相続税の試算を行い、相続税がどれくらいかかるのかを把握しておくことが重要です。

また、これまでの相続税対策の見直しが必要となるケースもでてきます。

いずれにせよ、早めの準備が今まで以上に重要になります。