ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱いの変更について

ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱いの変更について

預託金会員制ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱いが変更されました。

そこで今回は、今回の取扱いの変更を含め、ゴルフ会員権の譲渡所得をめぐる税務についてご説明いたします。

ゴルフ会員権の種類と会員権を譲渡した場合の課税関係

ゴルフ会員権とは、会員制度を採っているゴルフ場を、一般客よりも、 優先的に使用する権利の事をいい、大別して「預託金会員制」「株主会員制」「社団法人会員制」の3つの種類に分かれます。

預託金会員制ゴルフ会員権は、優先的施設利用権(プレー権)と預託金返還請求権を主たる内容とする債権的法律関係により成立している会員権となります。

「株主会員制」のゴルフ会員権は、ゴルフ場経営会社の株主になることによって優先的施設利用権が付与される会員権となります。

「社団法人会員制」ゴルフ会員権は、公益法人制度のゴルフ倶楽部で、一代限りの終身会員制度を採るところが多く、会員権の譲渡・相続は不可であり、国税庁もこうしたプレー権のみの会員権については評価しない旨の通達を出しています。

したがって、売買が可能なのは、原則として「預託金会員制」および「株主会員制」のゴルフ会員権となります。

両者は法的地位は異なりますが、これらの会員権を売ったときの所得は、いずれも譲渡所得として事業所得や給与所得などの所得と合わせて総合課税の対象となり、現行所得税法上、ゴルフ会員権を売ったことにより生じた損失は、事業所得や給与所得など他の所得と損益通算することができます。

ただし、ゴルフ場経営法人が破産した場合などゴルフ会員権の価値の滅失損は会員権の譲渡ではないので、その損失の金額は損益通算できません。

ゴルフ会員権の譲渡損失はその損失額が高額になるケースが多いので、売却により事業所得や給与所得など他の所得と損益通算すれば、大きな節税が可能となります。

なお、税制の流れとしては、政府税制調査会が平成17年に公表した「個人所得課税に関する論点整理」にて、ゴルフ会員権の譲渡所得を従来の総合課税から他の所得との損益通算ができない分離課税に改める方向性が示されていますが、平成24年の税制改正大綱にもその旨は明記されていませんので、まだしばらくは損益通算が可能です。

ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱いの変更について

国税庁は、東京高裁平成24年6月27日判決(確定)を受け、会社更生計画等でゴルフ会員権の預託金債権が100%切り捨てられ、プレー権のみとなったゴルフ会員権を譲渡したときに収入金額から控除する取得費についての税務の取扱いを変更しました。

会社更生計画等により預託金が100%カットされ、プレー権のみとなった場合、従来は認められなかった更生手続前の入会金相当額を取得費とすることができるようになりました。

なお、更生計画等で預託金債権の一部が切り捨てられたケースは、今回の取扱い変更の対象外で、切り捨てられた損失の金額は認識せず、当初の取得価額をそのまま引き継ぐことができます。

あくまで会社更生計画等により預託金が100%カットされたケースの取扱いの変更となります。

以下、国税庁ホームページにて、上記取扱いと具体的計算例が公開されていますので、ご参照ください。

(ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱いについて)

1 従来の取扱い

預託金会員制ゴルフ会員権とは、契約上の地位であり、優先的施設利用権と預託金返還請求権をその内容とする譲渡所得の基因となる資産(事実上の権利)となります。

このため、ゴルフ会員権を巡る種々の方策の判定に当たってのメルクマールは、そのゴルフ会員権はゴルフ会員権としての性質を有しているか(維持しているか)、という点を基本として取り扱ってきました。

このことから、自主再建型の再建が行われたゴルフクラブのゴルフ会員権を譲渡した際の譲渡所得の金額の計算において、当該譲渡による収入金額から控除する取得費は、

①会社更生法に基づく更生計画による更生手続等により、預託金債権の一部のみを切り捨てられた場合には、切り捨てられた損失の金額は認識せず、取得価額から減額(付け替え)しないものと取り扱い、また、

②預託金債権の全額を切り捨てられた場合には、更生手続等により取得した優先的施設利用権のみのゴルフ会員権の時価相当額として取り扱ってきました。

2 今後の取扱い

上記1②の従来の取扱いの一部を以下のとおり変更します。

預託金会員制ゴルフ会員権が会社更生法に基づく更生計画による更生手続等(注)によって、預託金債権の全額を切り捨てられたことにより優先的施設利用権(年会費等納入義務等を含みます。以下同じです。)のみのゴルフ会員権となったときであっても、当該更生手続等により優先的施設利用権が、次に掲げる状況その他の事情を総合勘案し、更生手続等の前後で変更なく存続し同一性を有していると認められる場合には、その後に当該優先的施設利用権のみのゴルフ会員権を譲渡した際の譲渡所得の金額の計算において、当該譲渡による収入金額から控除する取得費については、更生手続等前の預託金会員制ゴルフ会員権を取得したときの優先的施設利用権部分に相当する取得価額とします。

①当該更生計画等の内容から、優先的施設利用権が会員の選択等にかかわらず、当該更生手続等の前後で変更がなく存続することが明示的に定められていること。

②当該更生手続等により優先的施設利用権のみのゴルフ会員権となるときに、新たに入会金の支払いがなく、かつ、年会費等納入義務等を約束する新たな入会手続が執られていないこと。

(注) 会社更生法に基づく更生計画による更生手続と同等の法的効果を有する民事再生法に基づく再生計画による再生手続等を含みます。

3 所得税の還付手続

上記2の取扱いの変更は、過去に遡って適用することとし、これにより、過去の所得税の申告の内容に異動が生じ所得税が納めすぎになる場合には、国税通則法の規定に基づき、この取扱いの変更を知った日の翌日から2月以内に所轄の税務署に更正の請求をすることにより、当該納めすぎとなっている所得税が還付となります。更正の請求をする場合は、更生計画等上記2に掲げた内容が分かる書類を併せてご提出ください。

なお、法定申告期限等から既に5年を経過している年分の所得税については、法令上、減額できないこととされていますのでご注意ください。

(参考)国税庁ホームページ : 「ゴルフ会員権の譲渡所得に係る取得費の取扱いについて」

(更生手続等により優先的施設利用権のみとなったゴルフ会員権をその後譲渡した場合の譲渡所得に係る取得費の計算 )

【照会要旨】

ゴルフ場経営会社について、会社更生法による更生手続が行われ、預託金債権が全額切り捨てられましたが、優先的施設利用権については、更生手続の前後において変更なく存続し同一性を有するものとされました。この度、この優先的施設利用権のみとなったゴルフ会員権を譲渡しましたが、譲渡所得の取得費は、次の計算でよいでしょうか。

(事例1)

更生手続前のゴルフ会員権は、次のとおり新規募集に応じて取得したものです。

入会金  500万円

預託金 2,000万円

預託金債権が全額切り捨てられていることから、取得価額から切り捨てられた預託金債権部分を控除して、更生手続により優先的施設利用権のみとなったゴルフ会員権の取得費を算出します。

 

 

(事例2)

更生手続前のゴルフ会員権は、次のとおりゴルフ会員権取引業者から取得したものです。

ゴルフ会員権の購入価額    250万円

購入時に支払った名義書換料 100万円

なお、このゴルフ会員権の新規募集時の入会金及び預託金は、次のとおりとなっています。

入会金   500万円

預託金  2,000万円

①まず、取得価額に含まれる優先的施設利用権に相当する部分の価額を会員募集時の預託金と入会金から按分して算出します。 なお、この算出した価額(優先的施設利用権に相当する部分の価額)が入会金の額を超える場合には、ゴルフ会員権の購入価額から預託金の額を控除した額となります。

 

 

 

 

②次に、①により算出された取得価額に含まれる優先的施設利用権に相当する部分の価額と購入時に支払った名義書換料から、更生手続により優先的施設利用権のみとなったゴルフ会員権の取得費を算出します。

 

 

 

【回答要旨】

照会意見のとおりで差し支えありません。

なお、優先的施設利用権が更生手続の前後で変更なく同一性を有していると認められない場合には、更生手続により取得したゴルフ会員権の取得時の時価相当額になりますので、ご注意ください。

(注) 預託金債権の一部が切り捨てられたケースは、この質疑応答事例には該当しません。

【関係法令通達】
所得税法第38条
注記 平成24年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。

この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

(参考)国税庁ホームページ : 「更生手続等により優先的施設利用権のみとなったゴルフ会員権をその後譲渡した場合の譲渡所得に係る取得費の計算」

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